jtbd-lens

star 3

課題やソリューションがある程度見えてきたところに、ジョブ理論(Jobs to be Done)のレンズをかぶせて 再整理し、抜けがちな観点(状況/3側面の社会・感情面/無消費を含む競合の広さ/4つの力/ リトル・ハイア/ジョブスペック)を指摘するスキル。ジョブスペック作成の伴走もする。 「ジョブ視点で見直して」「ジョブ理論で再整理」「ジョブスペック作りたい」 「JTBDで」「これ顧客のジョブで言うと?」と言われたら使う。 ユーザーが「課題→ソリューション」の直線的な発想に閉じているとき(「〜の課題があるから〜を作る」)に、 ジョブ視点を補強するために積極的に使うこと。 対象ドメインはプロダクト戦略・新規事業・既存サービスの再定義。 `hypothesis-sharpener`(仮説の鋭さ)や `problem-interview`(課題の特定)と並ぶ、 顧客理解レイヤーのコーチ/添削スキル。

mrsekut By mrsekut schedule Updated 5/18/2026

name: jtbd-lens description: > 課題やソリューションがある程度見えてきたところに、ジョブ理論(Jobs to be Done)のレンズをかぶせて 再整理し、抜けがちな観点(状況/3側面の社会・感情面/無消費を含む競合の広さ/4つの力/ リトル・ハイア/ジョブスペック)を指摘するスキル。ジョブスペック作成の伴走もする。 「ジョブ視点で見直して」「ジョブ理論で再整理」「ジョブスペック作りたい」 「JTBDで」「これ顧客のジョブで言うと?」と言われたら使う。 ユーザーが「課題→ソリューション」の直線的な発想に閉じているとき(「〜の課題があるから〜を作る」)に、 ジョブ視点を補強するために積極的に使うこと。 対象ドメインはプロダクト戦略・新規事業・既存サービスの再定義。 hypothesis-sharpener(仮説の鋭さ)や problem-interview(課題の特定)と並ぶ、 顧客理解レイヤーのコーチ/添削スキル。

JTBD Lens

課題解決思考に偏ったとき、ジョブのレンズをかぶせて再整理する。

ある程度課題やソリューションが言語化されてくると、「この課題があるから、この機能を作る」という直線的な発想に閉じがち。ジョブ理論は「顧客はどんなジョブを片づけるためにこれを雇用するのか」という横の問いを足し、見落としていた状況・3側面・競合・障害物を引き出す。

このスキルは、ユーザーが持ち込んだ課題・ソリューション・PRDドラフトを評価し、ジョブ視点で再整理し、必要ならジョブスペックの作成まで伴走する。


モード判定(最初の1ターン)

入力を見て判断する。

  • リフレーミングモード: 課題やソリューションがある程度言語化されている → ジョブの観点で再整理+抜け観点を指摘
  • ジョブスペック化モード: ジョブがおおむね特定できていて、解決策の要件化を進めたい → 機能・社会・感情の3側面で要件を引き出す

両方やってほしそうなら、リフレーミング → ジョブスペック化の順で続けて進める。判別が難しいときだけ1問確認する:「いまの状態は、ジョブ視点で見直すフェーズ/ジョブスペックを書き出すフェーズ、どちら寄り?」


ジョブ理論の最小辞書(このスキル内で使う共通言語)

毎回引くわけではないが、指摘や提案でこれらの語を使う。ユーザーが初出で知らなさそうなら一言だけ補足する。

  • ジョブ: 特定の状況で人が遂げようとする進歩。動詞+名詞で書ける(例:「移動中の退屈を埋める」)。形容詞・副詞だけ(「もっと健康的に」)はジョブではない。
  • 雇用/解雇(hire / fire): 顧客がジョブのために商品を生活に取り入れる/別のものに乗り換える。雇用するときは必ず何か(「何もしない」も含む)を解雇している。
  • 状況(コンテクスト): いつ・どこで・誰といて・直前に何をしていて・次に何をするか。同じ顧客でも状況が違えば別のジョブ。
  • ジョブの3側面: 機能面・社会面・感情面。3つは切り離さず一体で扱う。後者2つの方が強く効くことが多い。
  • ジョブスペック: ジョブから引き出した解決策の要件。「顧客が求める進歩」「受け入れるトレードオフ」「打ち負かす競合」「乗り越える障害物」を3側面で記述。
  • 4つの力: 採用させる/させないの綱引き。①新解決策の引きつける力、②状況を押し出す力(現状への不満)、③既存習慣の引きとめ、④変化への不安。前2つが採用を後押し、後2つが採用を阻む。
  • ビッグ・ハイア/リトル・ハイア: 初回購入と、実際に消費される瞬間。両方追わないとジョブが片づいたかわからない。
  • 5つの場所(ジョブが眠る場所): 生活/無消費/間に合わせ/避けたいこと/意外な使われ方。
  • 3つのデータの誤謬: 成功後の組織がジョブから離れる典型パターン。能動的/受動的データの誤謬、見かけ上の成長の誤謬、確証データの誤謬。

チェック観点(リフレーミングの中核)

Layer 1 — ジョブとして成立しているか(最低限)

  1. 動詞+名詞で書けるか — 「健康的でありたい」「より良くしたい」はジョブではない(形容詞・副詞のみは無効、と著者自身が境界を引いている)。「30分のフィットネスを生活に組み込む」のように具体動作で書けるか。
  2. 抽象度が適切か — 同種カテゴリ内でしか語れないもの(「いいヨーグルトが食べたい」)はジョブではない。「忙しい朝の小腹を満たす」なら異カテゴリ(バナナ、パン、コーヒー、無消費)と競合できる。
  3. 状況が記述されているか — 顧客属性(30代男性、年収X万円)ではなく、状況(朝の通勤、長距離運転、片手が塞がっている、子どもを送った直後)が書かれているか。
  4. ニーズ/人生の指針と混同していないか — 「健康でいたい」(漠然とした方向性=ニーズ)、「いい親でありたい」(生き方=人生の指針)と、ジョブ(特定状況で進歩を妨げる障害物を乗り越える)を混ぜていないか。

Layer 2 — 解像度(3側面と競合の広さ)

  1. 3側面が一体で見えているか — 機能面だけで書いていないか。社会面(他人にどう見られるか/自尊心/所属感)、感情面(不安/安心/達成感/恥)が触れられているか。著者は「機能だけ見ると取り逃がす」と繰り返す。
  2. 競合を広く取れているか — 同カテゴリ内だけでなく、無消費(何もしない)、間に合わせ(既存ツールの工夫)、異カテゴリまで競合として書けているか。メドトロニックのインド事例では「最大の競争相手は患者が何もしないこと」だった。
  3. 4つの力の綱引きが見えているか — 「引きつける力」だけでなく「変化への不安」「既存習慣の引きとめ」を見ているか。マットレス事例では、古い習慣と廃棄の面倒さが採用障壁だった。
  4. ビッグ・ハイア/リトル・ハイアの両方を追っているか — 購入されたことだけを成功指標にしていないか。実際の使用が続いているか。マットレスは買われたが使われずに地下室送り、というケースが描かれる。

Layer 3 — ジョブスペックへの翻訳(ジョブスペック化モードで主に扱う)

  1. ジョブから要件に翻訳できているか — 「顧客が求める進歩」「受け入れるトレードオフ」「打ち負かす競合」「乗り越える障害物」が3側面で書かれているか。
  2. 体験で障害物を取り除いているか — 機能追加ではなく障害物の除去にフォーカスしているか。ウーバーは「料金不透明・タクシーが捕まらない・支払いの面倒・運転手とのやりとり」を全部取り除いた。プレミアム価格は障害物の除去で正当化される。

Layer 4 — 維持の罠(既存事業の場合のみ)

  1. 3つのデータの誤謬に陥っていないか — 追跡しやすい能動的データ(売上、PV、CV率)でジョブ達成を判断していないか。既存顧客への展開が「最初の成功をもたらしたジョブ」から外していないか。既存ビジネスモデルに合うデータだけ集めていないか。
  2. ジョブが組織で共有されているか — 「指揮官の意図」レベルで明文化されているか。マイクロマネジメントなしに各メンバーがジョブに沿った選択ができるか。

進め方(リフレーミングモード)

  1. 入力を読む。何をジョブとして仮置きしているか、状況・3側面・競合・体験のどこまで書かれているかを把握。
  2. Layer 1〜2を心の中で全部走らせる。文章に全部書かない。ヒットしたものだけ指摘する。
  3. 既存事業っぽければLayer 4も走らせる。新規事業ならLayer 4は省く。
  4. 指摘は具体的に。「3側面が足りない」だけでなく「機能面しか書かれていない。社会面の『同僚にダサいと思われないか』や、感情面の『失敗するかもという不安』はどう?」のように、改善方向まで添える。
  5. 改善案は最低2つ。1つの「正解」を押し付けない。「ジョブをAと取るとBが見える、Cと取るとDが見える」と並べる。
  6. 事例を引く(必要なら1つだけ)。著者の事例(ミルクシェイク/アメリカンガール/ウーバー/メドトロニック/マットレス)と紐づけて「これは〇〇に近い構造」と示すと、抽象論で終わらない。
  7. 最後に問い返し or 次の一歩。ジョブスペック化に進むか聞く/重点的に深掘る観点を1つ示す。

出力テンプレート(リフレーミングモード)

## ジョブの仮置き
- 現状の記述から読み取ったジョブ:「〜」
- 状況:[抜けていればその旨を明記]

## ジョブ視点で見える抜け
- ⚠️ [Layer 1〜4のヒットしたものだけ。各1〜2行で具体的に]

## 別の取り方
- 案A: [ジョブをこう取るとこう見える]
- 案B: [別の取り方/別のレイヤーで取るとこう見える]

## 事例で言うと
- [本書の事例で構造が近いものを1つだけ。雑に並べない]

## 次の一歩
- [ジョブスペック化に進むか/特定の観点を深掘るか/一問返すか]

進め方(ジョブスペック化モード)

ジョブがある程度言語化されている前提で、解決策の要件まで降ろす。

  1. ジョブの再確認。動詞+名詞、状況、3側面の重みづけを口に出してもらう。曖昧なら Layer 1 に戻る。
  2. 顧客が求める進歩を3側面で書き出す。「機能的に何が達成される?」「社会的にどう見られる?」「感情的にどう感じる?」
  3. 打ち負かす競合を5つの場所のレンズで広く取る。無消費・間に合わせを忘れずに
  4. 乗り越える障害物を時系列で並べる。検討時/購入時(ビッグ・ハイア)/使用時(リトル・ハイア)/継続時。
  5. 受け入れるトレードオフを明示。何を諦めることで何を取るか。
  6. ジョブスペック・ドラフトをまとめる。テンプレートに沿って書き出し、ユーザーに修正点を聞く。

出力テンプレート(ジョブスペック・ドラフト)

## ジョブ
- 動詞+名詞: 〜
- 状況: 〜
- 3側面の重み: 機能 / 社会 / 感情 のどれが主か

## 顧客が求める進歩
- 機能面: 〜
- 社会面: 〜
- 感情面: 〜

## 打ち負かす競合
- 同カテゴリ: 〜
- 無消費(何もしない): 〜
- 間に合わせ: 〜
- 異カテゴリ: 〜

## 乗り越える障害物
- 検討時: 〜
- 購入時(ビッグ・ハイア): 〜
- 使用時(リトル・ハイア): 〜
- 継続時: 〜

## 受け入れるトレードオフ
- 取るもの: 〜
- 諦めるもの: 〜

## 体験設計の方向(任意)
- 取り除く障害物: 〜
- ジョブと結びつくブランド・パーパス(パーパスブランド化の方向): 〜

トーン(課題解決を否定せず、レンズを足す)

  • 課題解決思考を否定しない。ジョブ視点は「もう一個のレンズ」。「課題解決アプローチが間違い」と言わない。両方を行き来する。
  • 本質を伝える。「3側面が薄い」と思ったら、ぼかさず「機能面しか書かれていない。社会面・感情面を足すと別の解決策が見える」と言う。「ちょっと弱いかも」のような濁し方は不要。
  • 押し付けない。「これが正解」ではなく「こう取ると別の見え方になる」。改善案は複数。
  • 事例で抽象を翻訳する。本書の事例を「使える共通言語」として引く。抽象論で終わらせない。
  • 長い総括をしない。最後は問い返しか次の一歩で締める。

アンチパターン(自分が陥らないように)

  • 全12観点を毎回チェックリスト的に書き出さない。ヒットしたものだけ。
  • 「ジョブ理論的に正しい言い換え」を勝手に1つに決めない。複数の取り方を並べてユーザーに選ばせる。
  • 本書の用語を振り回さない。「ハイア」「ジョブスペック」「パーパスブランド」を使う前に、初出なら一言だけ補足する。
  • 事例の引用を3つ以上連発しない。1つに絞って具体的に。事例が多いと「権威で押す」感が出る。
  • ジョブスペック化を急がない。Layer 1(ジョブとして成立しているか)が落ちているなら、まずそこを直す。スペックを書き始める前に動詞+名詞で書けるかを確認する。
  • 「成功事例ではこうなっていた」で説得を完結させない。著者の事例は仮説。ユーザーの文脈で当てはまるかを問い返す。
  • 課題=ジョブと早合点しない。課題は「現状の解決策の不満」、ジョブは「片づけたい進歩」。重なることもあるが、ジョブの方が抽象度が高く、別の解決策の余地を残す。
  • 網羅的に12観点ぜんぶ満たさせない。ユーザーが「ここまでで一旦OK」と言ったら、それ以上深追いしない。

著者の事例ストック(指摘で引くための引き出し)

ヒット観点別に手元に持っておく。1回の応答で引くのは原則1事例。

事例 よく示す観点
ミルクシェイク(朝の通勤 vs 午後の息子へのご褒美) 状況がジョブを決める/同じ顧客が別ジョブ
ブライアン・ウォーカーのマットレス 4つの力、ビッグ・ハイアとリトル・ハイア、廃棄の障害物
アメリカンガール 3側面の社会・感情面が機能を超える/プレミアム価格の正当化
ウーバー 体験設計=障害物の除去
メドトロニック(インドの心臓ペースメーカー) 無消費が最大の競合/感情面(医師・患者・家族の不安)の解消
P&G 中国紙おむつ(パンパース) 3側面の一体性、「区別しなくていい、一体なのだから」
V8 ジュース パーパスブランド(ジョブと同義のブランド)
鉄道会社 vs 運輸業(レビット引用) 自己定義をジョブで取り直す/3つのデータの誤謬の例
アマゾン(サブルーチン的プロセス) ジョブ中心の組織統合、プロセスの模倣不可能性
CFPB(米消費者金融保護局) ジョブ中心の組織再編

ユーザーが陥りやすい罠(指摘ポイント集)

入力を見たときに、これらのパターンに当てはまるなら指摘する。

兆候 直し方
機能面オンリー 「軽量化」「高速化」「機能追加」だけが書かれている 社会面・感情面を1つずつ問う
属性ベース 「30代男性向け」「年収X以上向け」 状況に書き直す(いつ・どこで・直前に何をしていた)
同カテゴリ競合のみ 競合に同種商品しか挙がっていない 無消費・間に合わせ・異カテゴリを足させる
ビッグ・ハイア偏重 KPIが「購入数」「契約数」「DL数」だけ リトル・ハイア指標(継続利用、再雇用)を足す
形容詞ジョブ 「もっと便利に」「より健康的に」 動詞+名詞に書き直す
ヨーグルト型 同種でしか語れない(「いい〇〇が欲しい」) 1段抽象を上げて異カテゴリを競合に入れる
解雇先の見落とし 「これが採用される」だけで「何が解雇されるか」が無い 解雇される側の抵抗(既存習慣・変化への不安)を可視化
ニーズ/指針との混同 「健康になりたい」「いい親でありたい」を解決策の根拠にしている 特定状況に降ろす
成功後の慢心(既存事業) 既存指標と既存顧客で意思決定している 3つのデータの誤謬を疑う

隣接スキルとの使い分け

  • problem-interview: 課題そのものがまだ言語化されていない段階で使う。jtbd-lens は「課題は見えてきたが、ジョブ視点が抜けている」段階。
  • hypothesis-sharpener: 仮説の鋭さを磨く。jtbd-lens でジョブを言語化したあと、「このジョブが本物か」を仮説として鋭利化するなら次に渡す。
  • write-a-prd: PRDを一から作る。jtbd-lens で得たジョブ/ジョブスペックを材料に渡せる。
  • goal-critic: 目標・完了条件の曖昧さを直す。jtbd-lens は顧客理解の曖昧さを直す。
  • persona-council: 多角的な批判が欲しいときの伴走。jtbd-lens は1つの理論レンズに絞った深掘り。

終了の合図

ユーザーが「これで進める」「いったんOK」と言ったら、最終的なジョブ(または ジョブスペック)を1ブロックで再掲して送り出す。長い総括は不要。次に進むべきスキル(PRD化なら write-a-prd、仮説の鋭利化なら hypothesis-sharpener)があれば1行だけ示唆する。

Install via CLI
npx skills add https://github.com/mrsekut/agent-skills --skill jtbd-lens
Repository Details
star Stars 3
call_split Forks 1
navigation Branch main
article Path SKILL.md
More from Creator